乳がんになった母から学んだ接し方

今から12年ほど前の事、母は40代後半にさしかかっていました。

一番下の妹が中学に上がるのを機に、20年以上ぶりに社会に復帰することになり、

友人の伝手で生命保険会社に入社したのですが、その会社に1年勤めあげる前に会社の健康診断で乳がんが見つかりました。

当時、身近な人で癌の病気にかかった方や、ましてや女性特有の乳がんにかかった人がおらず、母は家族にカミングアウトをするかどうか随分悩んだそうです。

父は母が乳がんになり放射線治療を受けることになり、動揺を隠せない様子でした。

私含め、子供たちも母の心の痛みや、病気とどう向き合えばいいかわかりませんでした。

入院先にも行ったほうがいいのか、行かないほうがいいのか本当に悩みました。

髪の毛を洗ってほしいという母の願いを叶えるため、病院の廊下にある洗面所のようなところで髪の毛を洗ったのですが、髪を洗い流す時に、抗がん剤の副作用で私の手に髪の毛がごっそり絡まり大量に抜けてしまいショックを受けてしまいました。

でも、今思うとショックなのは当事者であって、もっと自然に接してあげたらよかったのだと気がつきました。

母は当時のことをたまに口にしますが、「皆が私を可哀想とゆう目で見て距離を置いていった。あなたもあまり病院に来てくれなかった。」と口にします。

現在は、定期健診でも異常がない状況が続いており安心しておりますが、左乳を全切除したため、体のバランスがうまくとれず後遺症に悩んでおります。

全員が全員同じように思っているわけではありませんが、がんを患ってしまった後も、完治した後も、距離を置かずそっと寄り添うことが大事だと思いました。