転院は本人の希望をよく聞いて

父方の祖母の子宮がんが発覚し、闘病したときのエピソードです。

がんが見つかった当時祖母は63歳でまだまだ元気いっぱいでした。

私は10歳で東京に住んでいて、九州に住む大好きなおばあちゃんが病気だと聞かされたときには信じられない気持ちでした。

しかし祖母が若かったのと発見が遅れたことでがんはすでに進行していて、脳にも転移していました。

すぐに手術が必要な状態でしたが私たちは東京にいて、今後も長い療養が必要になるだろうと思い東京に呼び寄せて治療しようという話になりました。

私の母が病院にコネがあり、転院はスムーズにできました。トモセラピーやサイバーナイフなど最新のがん治療で知られる病院に入れてあげることができ、母は得意げでした。しかし祖母は知らない場所、初めての環境に戸惑い、だんだん弱っていってしまいました。着いたばかりのころは私がお見舞いに行くと喜んで迎えてくれたのに、手術の前になるとふさぎ込み、泣いているか痛い痛いとつぶやいているかのどちらかでした。祖母はすっかりやつれ変わりように戸惑いました。

結局手術のあと容態が安定してから祖母は九州の病院に戻りました。その後半年闘病の末亡くなりましたがなじみのある場所が一番だと言っていました。よかれと思ってやったことが迷惑になることもあるのだと子供ながらに感じました。精神的なストレスも体を弱めてしまうので、本人に寄り添った治療を選んであげなくてはならないと思います。